Q.そもそも、別荘って何のために持つんですか?
A.様々な考え方があって良いと思います。
一例を挙げれば、別荘・セカンドハウスを一種のステータスと捉える人も多いです。
若い頃に事業で成功したり、元々財産的には余裕のある家庭に生まれたりした方の場合には、別荘を持っていることを自身のステータスとして捉えているもいらっしゃいます。
例えば、自動車を持つ時なんかにも、特にこだわりのない人なら軽自動車や日本の有名メーカーが製造している普及車を選ぶ人が多いと思います。しかし、自動車という財産に魅力を感じている人や、金銭的に余裕があって「所有している自動車の種類は自分のステータスだ」と考えている人ならどうするでしょうか? メルセデス・ベンツ、フェラーリ、ポルシェ、ロールスロイス……こういった、誰もが知っている有名な外車を選択するのではないかと思います。本当のお金持ちであれば、きっと車に興味がないとしても、こういったメーカーのものを選ぶに違いありません。自分の階級にふさわしい所持品を携えたいと考えるのは、古今東西を選ばず我々人間の性質と言えるからです。
そして、そういう方々にとっては不動産についても同じことが言えるわけですね。自宅だって広くて豪華な邸宅にするでしょうし、有名な別荘地に第二の住居を構えたくもなるのです。実際「軽井沢に別荘を持っている」なんて聞くと、多くの人が「きっと、この人はお金持ちなんだろうなぁ」と判断するでしょう。それなりの財力を有する人は、相応の扱いを受けたいと願うものです。
こういった資産は実用面だけに留まらず、持ち主のアイデンティティを証明するという社会的に大きな役割もまた、与えられているのです。
もちろん、こういったブランド意識・階級意識が強く作用するのは社会的な側面だけではありません。所有者本人の精神面にも大きな効果を持ち得ます。
想像してみてください。洗濯が間に合わず、季節外れでしかもヨレヨレの洋服を着ている日。それから、良く晴れた日曜日に洗濯を終わらせ、ぱりっと糊の効いたブランドもののスーツに身を包んでいる日。あなたはどちらの日に、よりウキウキした心で一日を送れそうですか? 人生の中で大きな意味を持つ出来事が起こるとしたら、どちらの日に起こった方が物事が良い方向に運びそうですか? 答は考えるまでもありませんね。
人間というのは精神活動の動物ですから、そういった心理的なファクター如何によって、いかようにも状況が変化してしまいます。
さて、では最後に「ステータス」という単語の辞書的な意味を確認してみましょう。多くの方はステータスを「他人への優越」といったニュアンスで受け取っているようですが、実際の辞書的意味は「状態・状況」です。ステータスを向上させる、と言った場合には「自分が置かれた状態・状況をより良いものへと向上させる」といった意味合いになるわけですね。
そう考えてみると、ステータスのために自分にふさわしいものを所有する行為や、あるいは自分の価値を高めようと少し背伸びをしてステータスをかさ上げすることは、人間として極めて自然な行動だと思えてきます。
ステータスという単語に選民意識のようなものを感じて批判的に見ていた方も少なくないと思いますが、このように少しだけ発想を転換してみると、なんだか新しい価値観として容易に受け入れられるような気がしてきませんか?