あのノーベル文学賞作家の作品の舞台ともなった場所
また、伊豆地方は小説などの文学作品の舞台にもなりやすく、そのなかでも文豪・川端康成の『伊豆の踊り子』は皆さんもご存知のとおりです。ちなみに、『伊豆の踊り子』は明治期のエリートである旧一高(現東大)生と旅回りの踊り子との身分的に不釣り合いでかなわぬ悲恋の物語が美しい伊豆の情景とともに描写されています。
作者である川端にとって、日本の美を抒情豊かに描写する舞台装置として伊豆地方は最高の環境だったのであり、『伊豆の踊り子』は彼の名を世界中に知らしめ、日本人初のノーベル文学賞獲得という快挙をもたらしました。その要因のひとつに伊豆の自然美があったと言っても決して過言ではないでしょう。
ほかにも、伊豆をモチーフとした小説としては松本清張の『天城越え』や井上靖の『しろばんば』などがあり、いずれもこの地だけにしか見ることのできない独特の風景と習俗の描写が物語のキーポイントとなっています。
戦後には伊豆急行が開通し、交通の利便性が向上したことで観光・レジャー産業で有名となり、さまざまな遊戯・娯楽施設が完成しました。その後、日本でも有数の観光地として「伊豆」の名は全国区となりました。そのために、別荘地としても関東一円の富裕層から注目を浴びることとなり、現在でもその人気は衰えることがありません。