日本人の死亡原因として常に高い位置にある癌。その中でも、近年特に増えているのは肺がんです。早期発見が難しく治癒率も低い肺がんは、現代における最も恐ろしい病の一つと言えるでしょう。そのリスクファクターとして有名なのは、まずタバコですね。煙に含まれるタールなどの有害物質が肺がんを引き起こすということが、統計的なデータをもとに広く認められています。ただ、非喫煙者だからといって肺がんに罹らないかというと、残念ながらそんなことはありません。確率が下がるだけで、肺がんになる人は少なからずいらっしゃるようです。では、他のリスクファクターにはどのようなものがあるのでしょうか?
有名なデータの一つに幹線道路沿いの住民は肺がん罹患率がやや高い、とする結果があります。(喫煙に比べれば微々たるものだそうですが)要するに、排気ガスや工場の煙などが混じった空気を吸うことは、危険因子になるということのようです。
他にも、アスベストを吸入することが喫煙をしのぐほどの危険因子だということも良く知られています。
これらを一般化した上で簡潔にまとめると「煙や塵によって汚れた空気を吸わないことが、呼吸器の病気を防ぐためには良さそう」ということですね。
ただ、空気に含まれる汚れは目で見えるわけではありません。目で色の違いが分かるほど汚れた空気など、想像するだけでゾッとします。普通は、いくら汚れた空気でも見た目だけでは判別できないですから、そこだけ避けるわけにもいきません。都会に住んでいれば、必然的によどんだ空気を吸い込んでしまいます。
誰でも田舎に旅行したことくらいはあるでしょう。電車や車を降りて、まず気づいたのは何でしたか? 嫌な臭いのまったくしない、田舎の空気に感動しませんでしたか?
あれが、都会と田舎における空気の差なのです。どちらが呼吸器に優しいか、比べるまでもありません。実際、しばらく郊外で過ごした後に繁華街の交差点にある歩道橋などを歩くと、下の道路から上がってくる排気ガスの臭いに耐えられず、体調を崩してしまいそうになります。都会の空気って、こんなものが混じっているのか……と愕然とするほどでした。実際、都会の人は田舎に比べて鼻毛の伸びが早いことが知られています。空気中に混じった不純物・有毒な気体を排除するために、身体が都会に合わせて進化しているということでしょう。鼻毛というのは、エアコンでいうところのフィルター役ですから。
空気の綺麗な田舎暮らしで、疲れ切った呼吸器をそっと休めてあげませんか?