世界の別荘から

フランス人にとっての「バカンスと別荘」とは

ヨーロッパ大陸の西岸地域に位置し、現在はEUの中心的国家として知られるのがフランスです。正式な国名は「フランス共和国」で日本にとっては「芸術・文化が花開いた国」としてたいへん身近に感じられる国でもあります。フランスには王政の時代から自国の文化を守り、成長させるという意識が国民全体に根付いており、それだけに異国の文化も尊重し、理解しようとするという国柄があります。現在、世界を席巻している日本のポップ・カルチャー(漫画・アニメ・Jポップなど)を西洋では最も早く受け入れてその価値を認めたという点が、その文化の成熟度を物語っています。今回はEUの雄・フランスの歴史におけるバカンスと別荘の存在意義について語ってみましょう。

戦争で明け暮れた時代

ヨーロッパ諸国の大半は中世から世界大戦に至る20世紀中盤まで、まさに激動と表現するのに最も適切といえる歴史をたどっており、現在の国々の国境線は幾度も書き換えられて来ました。フランスもその例外ではなく、特にドーバー海峡を隔てて対峙するイギリスとはヨーロッパの覇権を競って激しい戦いを繰り広げた歴史を持っています。

今でこそ、ヨーロッパ大陸のEU国家群として価値観を共有し、将来はひとつの連邦国家にまとまろうという気運さえありますが、かつてのヨーロッパ諸国は激烈な領土獲得のための戦闘に明け暮れていたのです。

「戦争が芸術を醸成する」という名文句がありますが、これは決して逆説的格言ではなく、戦いが激しければ激しいほどその反動によって後世に残る芸術作品が生まれることはヨーロッパの歴史が証明しているといっても誤りではないでしょう。

ヨーロッパ社会で生きるあらゆる事象において、常にその中心的役割を担っていたのがフランスであり、フランスで誕生した各種の芸術にはフランスの風土と文化、習俗と共に近隣諸国との戦闘や交流がきっかけとなった作品群が数多く見られます。

花開く芸術の都

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