ソ連崩壊後に復活したダーチャ文化

そして、1991年にソ連が崩壊してからはロシア国民にとっては帝政時代の「休暇をダーチャで過ごす」という慣習が蘇ります。現在のロシアでは実に全世帯数の3分の1世帯が菜園付きの別荘としてダーチャを所有しているとさえいわれているほどです。寒い気候のロシアだからこそ、ダーチャ文化は根強く継承されてきたといえるかもしれません。

現代のロシア人にとって、ダーチャでの憩いのひとときに欠かせないのが「バーニャ」と呼ばれるサウナです。バーニャの中央部に設えられた炉に焼けた石を置き、香料を混ぜた水をかけると、バーニャ内部は熱い水蒸気で満たされ、香料の芳しい匂いが充満するという仕組みになっています。そして、フェルト地の帽子をかぶり、白樺製の手桶を持って入るのがロシア風です。さらに、サウナで十分に発汗したあとは白樺の杖を使ったマッサージをしながら身体全体をほぐしていくのです。

国家体制は変容したものの、欧米先進国に比べていまだに娯楽が乏しく経済状態も良いとはいえないロシア国民にとって、質素な生活を強いられる毎日のなかで唯一の楽しみがダーチャでの休暇というわけです。

最近では、外国からの観光客もこのロシア風ダーチャ体験が人気になってきており、日本でも観光コースのオプションにダーチャとバーニャ体験を選択する旅行者が増えてきてきるようです。

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