世界の別荘から
南部ヨーロッパ随一の別荘地、イタリアの「コモ湖」
ヨーロッパ諸国の有名観光地の中でも群を抜いて多くの名所・名跡がある国がイタリアです。イタリアには風光明媚な景観としのぎやすい気候の土地が全域に散在しており、世界中の富裕層やセレブたちが競って別荘を求めることでも知られています。今回は南部ヨーロッパ随一の別荘地としてその名を世界に轟かせているイタリア北部ロンバルディア州に属する「コモ湖:Lago di Como」周辺について語ってみましょう。
芸術をはぐくむ気候と風土
「ラーリオ湖:Lario」という別名を持つコモ湖一帯はスイスとの国境に近く、ヴァルテッリーナ渓谷からアッダ川への流域に属する湖水地帯です。そして全長46km、最大幅4.3kmという堂々とした逆Y字型のコモ湖はイタリアで3番目に大きな面積でその湖畔一帯は昔日のローマ帝国の時代からさまざまな歴史の舞台となった土地として知られています。
コモ湖畔はかつてカエサル将軍やアウグストゥス皇帝をはじめとする歴代のローマ帝国の要人が保養地として好んだ場所で、ヨーロッパ諸国の王侯貴族が競うように建てた豪壮な別荘が現在も残っており、いにしえのヨーロッパ南部の歴史を体感できる場所でもあります。また、避暑地として最適な気候風土を持つ土地柄だけにルネサンス華やかなりし時期には休暇を兼ねた作家や詩人、音楽家や画家などの芸術家たちが資産家からの援助によって豪華な別荘を建て、自作の構想を練るための場所として利用していたという逸話がいくつも残っています。
別荘地としてのコモ湖畔は作家ではゲーテ、スタンダール、ヘミングウェイなど欧米の文豪たちのお気に入りの土地でした。また、大作曲家のリストもコモ湖畔を避暑地として利用しており、次女のコジマはコモ湖にちなんで命名されたともいわれています。芸術家の創造力を顕在化させるには自然環境が整った場所が必要だとよくいわれますが、コモ湖一帯はその理想的環境が完璧に揃っており、まさに「芸術をはぐくむ土地」といえるでしょう。