にっぽん別荘めぐり
悠久の大自然・理想の別荘地「八ヶ岳」
世界に冠たる経済大国となった日本に観光で訪れる外国人にとって、現代の日本はさまざまなハイテク機器と本州から九州までも縦断する夢の超特急・新幹線のイメージが強いことから、東京や大阪に代表される近代的ビルが建ち並ぶ近未来の国という印象を受けるようです。
そして、それはほかならぬ都市部に住む我々日本人自身にもいえることで都会を離れて地方の景色に触れてみて、あらためて日本がいかに自然に恵まれた国であるかということを実感する人が少なくありません。
このような社会でセカンドハウスたる別荘はなんとしても大自然の息吹が感じられる土地を選びたいと考える人は多く、長野と山梨の県境に位置する「八ヶ岳」こそ、そのような理想に近い別荘地といえるのかもしれません。そこで今回は伝説と秘境の地・八ヶ岳の魅力について語ってみましょう。
「八ヶ岳」にまつわる伝承
誤解している方のためにあらかじめ申し上げておきますと、「八ヶ岳」とは長野県と山梨県にまたがる火山群を総称した俗称であり、「八ヶ岳」という名称のついた固有の山岳が存在している訳ではないのです。したがって、どこからどこまでを「八ヶ岳」と呼称するかは各人それぞれの感慨や思い入れによって異なりますので、山岳小説やコラムあるいはマスコミの報道などで聞く「八ヶ岳」と自分が想像しているその範囲とに多少のズレを感じておられる方も少なくないでしょう。
また、「八ヶ岳」という呼称のいわれについてもさまざまな説が知られており、そのなかでもこれといった決定的な定説はないようです。この点は八ヶ岳の峰々にかかる雲のように判然としません。これらの曖昧さがこのエリアの神秘性を一層高める一因ともなっており、最近では八ヶ岳に魅せられて各山域を走破しようとするトレイルランナーのメッカであることでも有名です。